ガイア倶楽部通信

2002 ヨーロッパへ行ってみた　その6

満腹になり、良い気分で勘定を告げると、やけに愛想のいいその男はいそいそとやって来て支払いの金額を口にした。その金額がですね、ﾎﾟｶｰﾝ( ﾟдﾟ) とするような ボッタクリ！だったのだ。思わず訊き返す。私は暗算で16ポンド弱と計算していたが、倍近い金額だ。16ポンドでも相当奮発したというのに。「な、な、な、なんてこったい」。頭の中で英作文をする前に、顔が抗議していた。ｼｬｷｰﾝ(｀・ω・´) その金額はおかしいぞ、と。

言葉はなくてもその男にはすぐ通じたようで、というか待ち構えていたように何か言いながら、銀行なんかで配ってる無地のメモ用紙みたいな紙に他人には読めそうもない文字と数字を書きなぐったものを突き付けてきた。既に愛想笑いの顔ではなくなっている。

「よっしゃ、上等やで」（なぜか関西弁）と戦闘モードに入りかけたが、「怒っちゃいかんばい」（なぜか九州弁）とすぐ冷静さを取り戻し、口調だけは穏やかに抗議する。と言ってもメニューを示しながら「this, this, ・・・」「とーたるなんとかぽんどなんとかぺんす！」って繰り返しただけなんですが…。（＾＾；）

相手は私が指で示すメニューを確認しようともせず、例の紙をかざしながら何かまくし立てているのですが、全く聞き取れない。あの親切でフレンドリーな態度はなんだったんだ。この人、わかってやってるよなあ。ずいぶん見下されたもんだ。

はっさ、やれやれ。何かもう面倒になってきたのと、それ以上にこういう人にあっさりだまされて笑顔を向けていた自分の馬鹿さ加減が情けないのとで、さっさと言われた金額を払うことにした。こういうボッタクリに応じるのは、相手のためにも後々の利用者のためにも良くないのは分かっていたが、せっかくの気分を台無しにしてくれた不快なその場を、一刻も早く離れたかったのだ。





こうして私は、海外での初めてのレストランで見事な敗北を喫し、重い足取りで地下鉄の駅へと向かったのでした。

しかし、しかしですよ、トラファルガーの海戦で劇的な勝利をおさめたネルソン提督だって、その海戦で戦死しています。ネルソンとくればアドミラル・トーゴーですが、東郷平八郎はバルチック艦隊を壊滅させた司令官だけど、後に艦隊派の神輿に乗って海軍の毒にもなった。

勝ったからって結果が良いものとは限らない。今回は完敗だけど結果オーライかもしれない。・・・ そんなことを考えながら、自分を慰める私だった。って、なんで食事代の支払いと歴史に残る大海戦が同じまな板に載ってんだ??? という突っ込みが思い浮かばないほど、その時は初めての海外で気を張っていたんですね（笑）


ここからさほど遠くない、とある店でのできごとだった







2002 ヨーロッパへ行ってみた－その7
2002 ヨーロッパへ行ってみた－その1