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てぃーだブログ › ガイア倶楽部通信 › 旅のこと › 公園のメアリー・ポピンズ

2012年11月05日

公園のメアリー・ポピンズ

2002 ヨーロッパへ行ってみた その16

ジュエルハウスを最後に、テムズ川に面した石の門を抜けてようやくロンドン塔を脱出しました。

そのままふらふらと目の前のタワーブリッジを渡って川の対岸に降ります。多くの人々が監禁された冷たい石の部屋、首切り台、西洋甲冑、きらびやかな王冠・・・頭の中にイメージが渦巻いて、まだ何か現実に戻りきっていないような気がしていました。右手の川向こうにホワイトタワーを見ながら、河畔をぼんやりと歩きます。

公園のメアリー・ポピンズ
青空がのぞく午後、タワー・ブリッジを渡りテムズ川の対岸を歩いた


穏やかな午後、珍しく空は晴れ、11月の優しい陽射しが少しまぶしかった。川沿いは緑地というか公園になっていて、奥の方が土手のように高くなっていました。その小高いところを、小学校低学年くらいのチビっ子たちが20人ほどでしょうか、先生に引率されてにぎやかに、でもお行儀良く歩いていました。何かの行事でしょうか、よくわからない。長身の女性教師はカチッとしたテーラード・ジャケットとロングスカートを身に着け、背筋をピンと伸ばし、子どもたちに目を配っています。

「メアリー・ポピンズだ!」と思いました。ミュージカル映画のジュリー・アンドリュースが演じるメリー・ポピンズではなく、子どもの頃に姉の本棚にあった『メアリー・ポピンズ』を読んで私の脳裏に定着したメアリー・ポピンズその通りのイメージだったのです。私は近づいて一声かけカメラのレンズを向けたい衝動に駆られました。でも、どうしても勇気が出せない。どうしよう。焦っているうちに通り過ぎてしまい、振り返るのが精一杯でした。

川沿いをさらに進むと、英国海軍の巡洋艦『HMSベルファスト』が係留展示されていました。これが中国から紅茶を運んだティー・クリッパーだったなら一も二もなく見に行くのですが、残念ながらそうではありません。『カティサーク』はずっと下流のグリニッジにいますし。ロイヤル・ネイビーならもう少し古くてせめて『ドレッドノート』くらいの名の知れた艦艇ならわからないけれど、『ベルファスト』は私を引き寄せる磁力を持たないようです。

テムズ川の濁った流れに逆らうように、ロンドン・ブリッジに向かってゆっくりと私は歩き続けたのでした。(なんとなくエッセイ風)



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Posted by ぎんばいか at 21:59 │旅のこと