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2012年11月01日

ホワイトタワー

2002 ヨーロッパへ行ってみた その14

ロンドン塔を構成する建造物群は、中世軍事建築史の重要な資料となっているそうです。その中でも最も古い建物が中庭の真ん中に建つホワイト・タワーで、11世紀末にノルマン朝を開いた征服王ウィリアム1世によって造営されました。

ホワイトタワー
入口は高い位置にあり、攻撃を受けたときは木製の階段を取り払う


ホワイトタワー内にある博物館 『the Royal Armouries in the White Tower』 の展示はたいへん充実しており、甲冑、槍、剣、斧、マスケット銃から火砲までさまざまな武器装備が陳列されていました。日本ではほとんど見る機会のないプレートアーマー(騎士が身に着ける西洋甲冑)やホースアーマー(馬鎧)、ランス、ソード、セイバーの実物を間近で見ると、大きさや光沢、重量感などのイメージがよりリアルになります。

ホワイトタワー

中世から近世にかけての戦闘において、日本の場合は恩賞のために敵の首級を取りましたが、西洋の場合は、敵の騎士を殺さずに捕虜にすることが多かったようです。人質として城の牢に監禁し、身代金が支払われると引き渡されました。これは興味深いことです。なぜなんでしょうね。

西洋的な合理主義、また死生観の違いが大きいのだと思いますが、見ていてプレートアーマーの特徴も関係あるのではないかと感じました。全身が金属で覆われているため致命傷を負わせにくいこと、重量や構造ゆえに転倒させるだけで行動の自由を奪いやすいことが考えられるからです。

こうした伝統は、ひょっとすると先の大戦における日本の「生きて虜囚の辱めを受けず」という精神と、欧米の捕虜となることを恥じない精神との対照となって受け継がれているのかもしれません。


ホワイトタワー



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Posted by ぎんばいか at 21:55 │旅のこと