ガイア倶楽部通信

2002 ヨーロッパへ行ってみた　その20

「まずいな・・・」と思いました。先日のイタリアン･レストランで英語力がないために足元を見られ、完璧ボラれてしまったトラウマがまだ癒えていませんでした。インターホンでは筆談という最後の手段も使えません。

そもそも私は人と話すのが非常に苦手で知らない人と話すのはさらに苦痛なんですね。加えて日本語が通じない異国の地で外国人が相手。とどめがインターホンという、まさに三重苦。正直なところ、諦めようかとも思いました。

でも、ここで逃げたら負け続けることになるかもしれない。ひとりでヨーロッパに来たのは、好奇心を満たすためだけではなかった。まじめな話、人との接触を避けがちな自分に課した、修行のようなものでもあったのです。

逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ・・・。（ネタじゃないです、本人は必死）

こうなったら仕方がない。当たって砕けろとばかりに、コールボタンを押してみる。

1秒、2秒・・・。スピーカーから声が聞こえた。「ゲッ、どうしよ、人がいたわ」。相手が何と言っているのかも聞き取れない。多分どなたですか？とか、どんなご用件ですか？とか言っているのだろう。わからなくてもいいよ、ここはもう度胸しかねえ。「えい」っとばかりに勢いだけで、「日本から来たっっ！紅茶が欲しいんでぃっ」と江戸っ子らしく言い切った。（江戸っ子じゃないけど）。

すると、何か気迫が通じたようで、「どうぞ」というような言葉と共に「カチャッ」と音がして、ロックが解除されたのだった。（続く）

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2002 ヨーロッパへ行ってみた－その1