おいしいミルク・ティーの秘訣
2002 ヨーロッパへ行ってみた その26
英国で飲む紅茶は安いティーバッグでもなぜおいしいのでしょうか? 理由がわかれば、おいしいミルク・ティーを淹れるヒントになるはずです。
「鍵となるのは水と牛乳」と書きましたが、そのあたりを具体的に説明しましょう。
まず【水】について。イギリスの水は、スコットランドなどの北部を除くと日本(本土)よりもかなり硬度が高いようです。その点では、隆起さんご礁の島であるため水の硬度が高い沖縄と似ていると言えますね。
ミルク・ティーは、ストレート・ティーよりしっかりしたコクがなければ水っぽくなってしまいおいしくなりません。だからと言って、ただ茶葉を増やし浸出時間を長くすると渋みの強いお茶になってしまい、やはりおいしくはなりません。しかし英国の日常でされているようなポットにティーバッグを入れっ放しにする淹れ方をした場合、
硬水だとタンニンの抽出が抑えられ、コクは十分出ているけど渋みは少ないお茶となります。それがミルクティーにぴったりはまるというわけです。(紅茶の本などで、紅茶には軟水が適していると書かれていることがありますが、必ずしもそうではないということになります)。
品種はイギリスでもホルスタインがメイン(photo:Freepik)
もう一つは【牛乳】の問題です。日本で市販されている牛乳のほとんどは、超高温瞬間殺菌(UHT法)といって摂氏120度から135度で1~3秒間殺菌する方法が採られています。そのため熱変性により牛乳本来の風味は損なわれ、たんぱく質のこげ臭(この製法の牛乳ばかり飲んでいる多くの日本人はこれを牛乳の香りと思っていることが多いらしい)がつきます。また牛乳中の脂肪球は均質処理(ホモゼナイズ) されています。
それに対し英国の牛乳は、63℃で30分または72℃で15秒間加熱する
パスチャライズ製法による低温殺菌牛乳で、しかも乳脂肪分の均質処理をしない
ノンホモ牛乳だそうです。加えて原乳の質が高いということもあり、牛乳自体の風味が豊かで、ミルク・ティーにした場合も日本の牛乳を使ったミルク・ティーとは異なる味わいになるようです。
硬水でしっかり浸出させた紅茶に、ノンホモ低温殺菌の牛乳を使うと、安物の茶葉でも驚くほどおいしいミルク・ティーができるというわけです。
ですから、「英国では紅茶がおいしい」と言うより、「
英国ではミルク・ティーがおいしい」と言うのが、より正確な表現ということになりますね。
2002 ヨーロッパへ行ってみた-その1
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